
白井道也は文学者である。
白井道也は文学者であるという有名な書き出しで始まる「野分」。漱石が新聞小説家としてデビューする前の最後の作品。漱石から何か生きるヒントというか、この混沌とした今を打破する糸口を探せないかと思っている。野分を読み直して、教壇に立つようになった今、感じるものが多い。教師はお金儲けでやる職業でないし、お金儲けをするには商人であるということも書かれているが、当時、学者というものが崇高な存在であることも見て取れ、今のサラリーマン化した学者像とは全く違う。言葉に魂があるというか、勉強になることが多い。野分は漱石の中でもマイナー小説だと思うが、一読してほしいなと思う小説の一つ。

剛直な言葉
とかく漱石が気になる。何かハッとする。二百十日は会話で成り立っている短編であるが、言葉が強めのものが目立つ。漱石は世紀末という100年を単位とした思想の中で、小説を読み解くことは重要な要素と思うが、一番、最後の文章、「二人の~百年の不平~を吐き出している」という一説があるが、ああここにも百年というワードが使われていることに改めて気づいたことである。こんなに二百十日の小説の言葉があらあらしく表現されているというのも、草枕からつながるじ「情」の世界と思える。もう少し文学に浸る時間が欲しい、心に余裕がないのかもしれない。
 | ゴマブックス株式会社 発売日 : 2017-08-30 |

非人情の世界
何となく草枕が読み直したくなって、読んでみた。「山路を登りながら、こう考えた」と始まるあの小説である。漱石を読めば、社会がわかるという人もいるが、何となく漱石の言葉から今の僕が抱えている諸問題を打破できるのではないかと思い、何故か草枕から読み直すことにした。旅の宿であった女性を通して、芸術や思想、哲学、文明というものが見えてくるのだが、西洋化への格闘がつぶさに読めてくるわけで、国家権力との向き合い方、思想というのがあらわになっている。感染症の時代になっている今、自分自身でコントロールが何かと難しくなっており、ぐっと考えることが多くなっている。少しずつだが、漱石と再度、向き合ってみようと思っている。何かわかってくるものがあるだろうか。

経済学者VS文学者
かつて漱石を勉強していた時に、お金と文学という形でまとめたいなと思うことがあった。研究書として、ああ、さすがと思ったものはこの本。冒頭にちらっと書いてあるが、たまたま見つけて写真の本を読んでみた。僕の関心をひいたのは、信用創造という経済学のワードから見る、文学の読みというのは面白いなと思う。お金によって人の心が動く、そして生活がかわる、社会が変わる。漱石で言えば、なんといっても、道草を読むとお金の問題と向き合うことになるが、この書籍でも多く取り上げられている。非常に読みやすく面白いと思うので、是非読んでみてほしいなと思う。

コンセプトの辞書
大学院時代からお世話になっている谷口正和先生の新書であるが、毎回、新刊が出るたびに謹呈をいただく。感謝の気持ちでいっぱいである。今回の新刊は、自らの著書を振り返り、整理されたものである。コンセプトの辞書と言っていい。時代の変化を感性的に整理しつつ、新たな価値を見出すデザイン力。圧倒的である。まずこうしてその時その時で、著書にしてまとめ、世に提示して、深化する、進化する。その連続的な営みがこうしたものを可能にする。今の時代、ブログやSNS などアピールできる場は多様にあるが、書籍の良さというのは見出し、タイトルから想起されるアイデアがある。また立ち止まって読み直すこともできる。何度も読んだ本もこの中にはあるが、またもう一度読み直そうと思うものも多々。おすすめの書籍なので、手に取って読んでほしい。
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ニッチなところで戦う
お勧めされて、読んだ本。マーケティングのあり方はやはり大切だなと思うが、マーケティングを教えれる人がいるようでいない。実務でも重宝される存在と思える。簡単に言えば、レッドオーシャンの市場ではなく、ブルーオーシャンの市場で勝負する。この点、当たり前であるようで、この市場の発掘や発見は難しいものである。読みやすい本なので、読んでみるといい。ある程度、タイトルをみたり、目次を見ると、だいたい書いてあるだろうことはわかる。しかし、その中身に一個でも新しい知見があるのなら、それはそれでいいことと思っている。読書はあまり分野に偏らず、違う分野も読みながら、複眼的に、複合的な視点を獲得できるようにと思っている。

知識のインストール
過去の蓄積もどこかで廃れる。日々、知識や経験をアップデートをして努力を続けないといけない。書籍だけはあれこれ買い込むが、なかなか読める時間が少ないというのも事実。今回はこの教材で学習中。事例があれこれ掲載されているのだが、やはり会計学が専門となると、経営系のものを読むのが少ないのだろう。懐かしいなと思うようなことも多く、やはり触れていかないといけないと再確認している。どの類でも、入門書はどのような専門性を持った人でも振り返るように読むといい。基礎・基本を点検できるし、初心者を教える・伝えることにも役に立つ。半分くらいなので、もう少し読み進めてみたい。

HOW TO 本
こういう類の基本書になるものはときどき読むようにしている。やはり自分でいいと思ってしまう独りよがりな部分を払しょくするためと、そうだったのかと思うこと、気づくことがあるからでお勧めである。たまたま文章の書き方を紹介しているが、世の中にある出来事、なんでもこういうことはある。僕の場合、論文を書くことは一つのタスクだから、気になることは多い。文章が長くなり、主語と述語の関係が変になることが多く、できるだけ一つの文章を短くというのは意識しているが、どうしても長くなっているのが現状である。故にいつでも謙虚な姿勢で基本に戻ることを忘れないようにという戒めが必要なのだ。

未来の農業はどうなるのか
読書。たくさん書籍を買うが、全部読めているかといえばそうではない。そのまま背表紙をみて、棚へ並ぶだけの書籍もある。また興味関心があるときに読み始めるという本もある。この本も1年くらいは塩漬けになっていた書籍で、気になって読んでみた。腰巻にあるように。農家半減でも生産性は倍増、フードバリューチェンが変えていくのだろうか?みんな農業に可能性を感じ、参入する人もいるが、なかなかそう思うようなシナリオで事業ができているのかといえばそうではないのではないか。これからの10年、日本農業はどう進むのだろうか。一つの提言として、受け止めたい。

授業はいらない
近年、塾産業は非常に気になっており、できるなら事業をやってみたいと思うビジネスだ。子育て世代にいるのもあるが、大学教育にかかわっている自分の環境も大きく影響を及ぼしているように思う。様々な塾があるが、特に気になっているのは武田塾。近年、すごい伸びている塾であり、授業をしないのが特徴。参考書をベースに完璧に仕上げていくロードマップを示し、学習者自らが履修する。勉強する環境を作るということになるのか、これまでの三大予備校がやってきた映像授業などのスタイルとは一線を画す。自分がそこで学んでいないので、わからない部分はあるが、塾業界でここまで伸びているのはニーズと実績と伴っているわけで、注目をしている。少子化の流れはあるが、それでも一部はビジネスとして残る。どこに活路があるのか、考える事例であり、やってみたいと思うところでもある。