断片の言葉から学ぶ
再三になるが、漱石没後100年。とにかく漱石関係の書籍が多く発刊されている。漱石のことばをまとめたものものも、何冊か発売されており、こうしたものから学ぶことも多い。人生訓、文明、思想、恋愛・・・、いろんな角度から向き合うことが可能である。なぜ漱石は多くの人に読まれるのか。この答えは漱石が放つ言葉が、今なお人間の根幹の琴線に触れるからではないかと思う。何度もその言葉から考えさせられる。文学軽視の流れにある。「文芸は技術でもない、事務でもない。より多くの人生の根本義に触れた社会の原動力である」(三四郎(同書、216ペ-ジ)文系不要論の再考といえる遺言である。