漱石、100年後に逢いましょう

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一生枯れない泉

奥泉光さんの編纂の漱石特集号。今年は、漱石没100年ということでたくさんの催しやこうした特集といったものがあり、漱石を研究していた身としてはどうしても気になる。この本の中にも書いてあるが、漱石の文学について、奥泉光さんは「飲んでも飲んでもまだある、一生枯れない泉」と表現されているが、まさしくそのように思う。研究者においてもたくさんの方が批評や論文が残されているが、色あせることもない。一般の読者にもたくさん愛されている国民的作家であるのは言うまでもないが、同じ作品を読んでも、こうだったのかもしれないとかしばしば思う時がある。だから虜にされるんだろうなと思う次第だ。漱石の作品の中に、夢十夜という小説がある。夢のお話が10夜あるのだが、その最初の1夜で、「百年、私の墓のそばに坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」という文章がある。今年は100年後である。何か問いかけられているような気がしてならない。漱石を知る一冊として、いいのではないかと僕は思う。

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