学術研究

学問と実務。今、現在の農業会計に想う

実務から理論へ接近?

農業の会計を実務から理論化するというか、どのように接近し、それを理論化した上で実務に立ち戻る。こうした往復的な行動ができないか考えてきたが、今頃思うことはそれをすればするほど、積分化する。つまり、実態から離れていくような気がしてならない。深く農業を見ていくと、当然に有用ではあるが、完全でもなく、完全とまではいかなくてもそれに近いところにたどり着くように思っていた。でも、僕の頭にあるものと目の前にある現実はどうも一致せず、足踏みしたような感じがある。もやっとしているのだ。自然が相手だというのは大きな要素としてあるのは間違いないが、それでももう少し精度が研ぎ澄まされないだろうかと思うことがしばしばある。真に農業法人の中に入って取り組んでみると、利益を出していこうとする企業型のスイッチを押しても、そのスイッチが空回りしているような時がある。会計は間違いなく必須。接近し、着陸する「地点」が僕とずれるのか?農業会計学は社会科学ではない、自然科学として存在しているというのが僕の持論。僕自身の総決算は近い。理論と実務の難しさはまだまだ解決はさせてくれない。

研究を続けるべきかやめるべきか

夜明けは近いのか

詰めになっているのか、それともひっくり返されるのか、正直、よくわからないが、形にはなってきたように思う。最後の最後に、こうなのかもしれないという自分なりの結論は出たが、それが第三者に評価されるかどうか。論文と言うのは書いた!脱稿と言う時は気分いいものだが、ひとたびそれを離れると、読み手の自由ということになる。この論文を最後に学術研究をやめようと考えている(た)。それだけの余裕がないのと、公正に評価される場所で、残りの人生を過ごしたいと思ったからだ。しかし、やっていると問題意識が研ぎ澄まされ、こんな論文をまとめようと思っていしまう。思うのはいいのだが、決定的に研究をするだけの余裕がなさすぎる。その点、研究者はうらやましいときが多い。僕もじっくり腰を据えてやってみたいと思う時もある。ただそういう環境になると、だらだらしているような気もする。結局は決められないのか・・・。いずれにせよ、僕なりの農業会計論を結集編として、もうひと踏ん張りして、爽やかなゴールテープを切りたい。今後はそのあとに考える。しかし、なかなかうまくいかないものだ・・・。

 会計学原理 (プリンシプル・シリーズ)

農学と会計学を探る

漸く手元に

熊本の震災のせいか、かなり長い時間を要した紀要。発行も2016年3月で。去年やったような・・・(引用を2017.3とずっと間違えていた)。今回のものは、農業(自然科学)と会計学(社会科学)の視点や立場の違いから、管理会計の問題を再考したもの。読み直してみると、言いこと書いてるねと自分自身でも思うことがあるし、また実務家からも評価をいただき、励みになりますね。研究はなかなかしんどいことですが、それでも一つずつ、日進月歩で進めていきたい。しょうもない人もいるのも事実だが、おかしいことはおかしいとはっきり言って、学術界にも言葉を残していきたい。

 

研究者の資質

昔、言われたことの正解

研究者の資質はたくさんあると思うが、昔言われたことで確かだな思うことがある。「独身」であるという条件。哲学者の多くは、カント、デカルト、キルケゴ-ルなどなど、みんな独身で、やはり研究をするということは命がけである。孤独に耐え、文献を読み漁り、ペンを走らせる。これ、やっぱり必要なんじゃないかと思う。結婚が邪念とは言わない(僕も既婚者である)が、それだけ研究の世界は甘くない。それに没頭していかなければいけないということだ。思考することのつらさはやはりある気がする。絶対的な時間確保が少なくなるのも事実だろう。それは、1日24時間しかない、人間の現実。これを物語ってきている気がする。学術研究をすると、ふと思うことがある。過去の言葉が身にしみる。あのときは今、こうなるとは思っていなかった。でもそれは正解な気がしている。

 

使える一冊

中小企業の財務管理

大企業偏重の書籍が多い中、中小企業の財務管理に焦点をあてた一冊。大学で講義をいざしようと思った際に、中小企業向けのものがないということで執筆したそうだ。中身も、非常にかみ砕いて書いており、学生や会計実務者の初心者向けに役立つと思う。坂本先生の「会計で会社を強くする」という考え方は、大きくうなづける。会計が経営の根幹を為すわけだから、しっかりとした柱を作るべきだと思う。こうした考えの普及、会計軽視の経営者にはもう一度、立ち止まって考えてほしいなと思う。

 

飲食店の実態調査

飲食店の会計は如何に

飲食店は身近な存在である。衣食住の根幹にある一つの柱である「食」である。学術研究をみてみると、製造業や建設業などの業種を対象とした研究はよくあるが、意外にも飲食業の会計研究はあまりない。それに加え、この分野は未開だけではなく、飲食は科学的にやらなければ生き残りがなく、会計層があまりにも大きいこともわかってきた。ヒアリングも5件目になってきたが、それぞれに特徴あって面白い。飲食は大きな市場である。どこまで学者の中で認知されるかわからないが、ひとまずやってみようと思っている。農業にも役立つに違いない。

 

農業簿記の研究

農業簿記から学ぶ

もう5年前になろうか、一緒に農業簿記研究をさせていただいた戸田先生より謹呈を頂いた。財務会計の分野ではあまりヒアリングの手法は使われないが、積極的に活用したことで深みのある論になっている。戸田先生とは、農家のヒアリングも多数同行した。ここで学ぶことはわからないことはわからないと言える姿勢であり、そこから学習をしていけばいいことである。その点、僕は多くのことを学ばさせていただいた。僕もほんと性根を入れないといけない。時はいたずらにすぎる。なかなか時間もとれないのも事実であるが、それを打破していかなければならない。農業会計の研究にまた一つ良書が増えた。

 

学ぶべき基本

基本が大切である

学術研究に携わってから、欠かせないというか基本的な素養が薄いなと感じるときに読んで勉強する本といえば、放送大学のテキストである。幅広くジャンルや教科を扱っているので、何かしらその該当する分野にあたる。ほんとよくまとまっているなと放送大学のテキストは感じる。そこから拡張したり、立ち戻ったり、様々な観点で考察を深めるのだが、これは大学生にもおすすめである。そう考えると、小学校や中学校、高校というところは何がいいのかと改めて考えてみると、NHKの教科書かもしれない。テレビやラジオで学習できる。巷に手軽に手に入れて触れ合えることをなかなか人は手を伸ばさない。機会損失なんだろうと思える。放送大学には少しかかわってみたいと思うが、今のところかかわれるのなら生徒なんだろう。

 

農業簿記の探索

昭和32年の書籍発見

ときどき研究書の古本検索したら、ヒットをたまにする。なかなか所有してないものであるが、手に入れることができた。昭和25年の青色申告制度から農業簿記の問題意識がみてとれる。この書籍を読んでわかったのは、GHQの影響は間違いなくある。神奈川大学の戸田先生もよく指摘されていたが、間違いなくそうであろうと確信を得た。当時、一緒していたころ、よくこの問題は言われていたが、さして僕が関心がなかった。関心がなかったが、農業会計の流れや歴史から考えて重要な点であるだろう。書籍はあるときに買わないとなくなってしまう。古い本であったが、農業会計が未分化であるときの貴重なものであるだろう。

ビジネススク-ル再考

ビジネススク-ルは成功の約束手形ではない

かつての僕もビジネススク-ルに通った人間である。何かを変えたいという思いと20代でしか動けないのではないかという切羽つまったところもあった。確かに希望もあったが、ビジネススク-ルを経たからといって、成功のシナリオが描けるのかという安易な思いはなかった。ただ自分がここで踏ん張らないといけないということは常々思っていた。現在は、どうもビジネススク-ルは不況らしい。外国人留学生が多くなったり、ストレ-トマスタ-が多かったりと、定員を充足していないところもあるという。本来の社会人大学院の位置づけから少し遠くなっているようだこれからはだいぶ閉鎖していくものと思われる。それだけニーズも薄れている気がする。僕の行ったときは、2年で360万円の学費であった。決して安くないお金だった。よかったこともわるかったこともある。自分がどうするかであるが、大人の再学習は絶対必要であると思っている。学校の状況が強弱があるようだから、学校選びは慎重の方がいい。