(2)一歩踏み出せない三十二歳の僕
政治へ勝負していきたい、そう思いながら人にも話をし始めた。どうせ選挙に出るのなら、「もっと大きなところで出ればいいのに」、「選挙なんて出るのをやめたらどうか」などいろんな意見もあった。三十一歳の時には、翌年が選挙だった。はっきり言えば、さっぱりわかってない。施策を作ることは漠然とはこうすべきだという考えは持ち合わせていたが、選挙制度にしかり、何をどうすればいいか、皆目わからなかった。
先ず書籍を購入して、『議員になるには』などのHOW TO本を読み、選挙に必要な七つ道具や、こうやるといったものが何となくわかりはじめた。
当時、最初に話したのは、小学校時代の恩師に話してみた。「やめておけ」というのがアドバイスだった。地域に貢献も何もしていない、誰も僕を知らないといった状況で勝ち目もない。選挙をやるには、事前に用意周到な準備も必要だと、当たり前だろうが、三十一歳の若い僕は、根拠のない自信に満ち溢れていた。そう、社会人大学院で二年間、関西から新しい人脈や知識、これまでとは違った世界を得ていたからだ。脆い自信を胸に語ったのである。